安徳天皇漂海記

著者 :
  • 中央公論新社 (2006年2月1日発売)
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感想 : 54
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源平の争いの最中、壇ノ浦で入水された安徳天皇。
齢6歳で崩御された幼帝の魂は鎌倉へ、そして中国の抗州へ。。。

物語は2部構成でつづられる。

第一部は三代将軍 実朝時代の鎌倉。
陰謀蠢く鎌倉で、実朝が海外への夢。実朝はなぜ大船建設をしてまで海外への夢を持つに至ったかを、漂う安徳天皇の魂が巻き起こす騒動とともに描かれる。
実朝の従者の視点で、語られる。

第二部は、元朝皇帝フビライ時代の抗州。
元の侵攻により、滅亡寸前の南宋。
南宋最後の皇帝祥興の悲劇を、安徳天皇との不思議な符合をモチーフに描かれる。
当時、元皇帝フビライの側に近侍ていたベネチアの商人マルコポーロの視点で語られる。

第一部と第二部では、文体が全く違います。

第一部では歴史書(主に吾妻鏡)を意識しており、硬派な時代小説と行った雰囲気ですが、二部に入った途端にライトなファンタジー小説風の雰囲気に。

正直、第二部は辛かったです。

荒唐無稽な話も、第一部のような世界観のディティールにこだわっていれば、世界にのめりこめるのですが、第二部は語り口のせいなのか世界観に深みがないため、安っぽいファンタジーを延々読まされているような感想でした。

読了後は、第二部の印象が強いため、第一部のいい部分も記憶が薄れてしまう。
この小説、第一部のみで完結した方がよかったのではないでしょうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2012年2月2日
読了日 : 2012年2月2日
本棚登録日 : 2012年2月2日

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