話の核心というかトリック自体は序盤で薄々察せられてしまって(この題材ながら伏線は割と丁寧に張ってあるのだ)、終盤の展開自体は特段驚きもなく受け入れられた。
言及しておきたいのはむしろ文章構成の方で、主人公が現実と虚構を行き来するうちに、読者もまた今自分が読んでいる場面が作中における現実なのか虚構なのかが主人公同様混乱するように、複雑に各節が編まれている。それでいて話の筋自体は矛盾なくすっきりと通っているので、根本の着想自体は真新しくもないように感じられるのに、何故か飽きない文章となっていた。著者の構成力。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年8月21日
- 読了日 : 2017年8月21日
- 本棚登録日 : 2017年8月21日
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