岸恵子さん初のエッセイ。東京巴里井戸端会議があんまりよかったんで買ってみた。感想は…うーん、こんなもんか、と。小気味いいリズムのある文章はいいんだけど、ひとつの章ごとに伝えたいことがいまいちわからない。
往復書簡集ではあんなに生き生きしてたのに、この作品では古い言い回しと落語や小噺みたいな古いオチつきの話ばかりで、みずみずしいとは言い難い。でもパリでの生活がより詳しく書かれているところは面白かった。泥棒に入られたところとかね。
見どころは、娘デルフィーヌとのやり取りかな。ボケツッコミが出来上がってていいコンビ。好奇心旺盛なデルフィーヌの乞食旅にびっくり。
印象的なのは、ロミ・シュナイダーの死について書かれた話。彼女の死に真っ向から向き合っている。にもかかわらず、自分の夫の死には向き合えない。女としてのもろさと鋼の強さが交互にやってくる。多面的な女性なのだろう。女優をやっている人には当たり前のことかもしれないけど。
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- 感想投稿日 : 2012年9月12日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年7月25日
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