判らないまま字面を追いかけた初読。今回も明治期の言葉遣いに難儀しながら、せめて雰囲気と大意だけは理解できたものと思っている。『倫敦塔』の夢ともうつつとも取れる書きぶりが、それ以降の作品と相まって幻想的な作品群をなしている。最後の『趣味の遺伝』も、凱旋行軍の風景から日露戦争の戦地に斃れた友人を想い、墓参で偶然会った美人を「遺伝」的手法で探し出すという流れに、漱石のユーモアが表出しているようで面白かった。解説はあの伊藤整というのもすごい。奥付は昭和43年改版・昭和58年46刷。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説(邦国)
- 感想投稿日 : 2017年8月22日
- 読了日 : 2016年1月1日
- 本棚登録日 : 2017年8月22日
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