「0から1」の発想術

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  • 小学館 (2016年4月6日発売)
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発想法がメソッド式に羅列されており、非常に学びになる一冊。
どれも事例式なのでわかりやすい。
(得た知識を発揮してこそ、という部分が大きい分野だと思うのでこれをどこまで活かせるか…)

最後の文節であるように、ビジネスのアイディアは1勝14敗でも構わない。
1勝をどれだけ取りに行けるか。1勝するまで諦めないか。
諦めないことは成功の必須要件ではないが、成功者はみな諦めなかった人たちなのだと思う。
最後の最後で精神的な部分の話だったが、かなり勇気づけられる内容だった。

戦略面に関しても幅広く知識を得られたので、読んでよかった。


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■アービトラージ

情報格差を利用して大成長したのはファーストリテイリング
→ユニクロと顧客の「間」が殆どない
 ※卸問屋や商社を通さないことで利益を上げている

中抜きを進める、というと
"コストダウン"や"経営努力"という方向に走りがちだが、そうではない

ポイントは、
1)情報格差でサヤを抜く
2)固定観念に捉われず、外からものを見る


■ニュー・コンビネーション

既存のもの同士を足したり、掛け合わせたりする
ex)携帯電話+デジタルカメラの写メール
 ※これをどこまでも続けていった結果ガラパゴス携帯が生まれた

セブンイレブンPBでは「ガリガリ君×セブンプレミアム」や
「ジョージア×セブンプレミアム」といった商品同士の掛け合わせが多い


■固定費に対する貢献

ex)黒川温泉
 すべての風呂を1300円で利用できる「自由手形」
 →風呂(固定費)をオープンにしネットワーク化
  →温泉街全体のバリューが高まった


■早送りの発想

【プロダクト発想の問題点】
「発想がその商品の域を出ない」という点
・デジタルカメラは5年後にどうなっているか?
 →今のデジカメ以上の物は出てこない。画素数が上がる、などの予測は無意味
  ※技術の予測ではなく、「ライフスタイル」の予測をする

世の中に起きている小さな現象(兆し)を早送りしてみる
マクドナルドもセブンイレブンも日本上陸時は「フランチャイズ」
→いち早く存在に気づき、先のライフスタイルを創造できたからこそ広まった

【すべての「新しい概念」はすでに存在している】


■空いているものを有効活用する発想

場所や空間などをマッチングするサービスは世界各地で始まっている
・空き地、駐車場、屋上、オフィス…

「個人のスキルを貸す」=クラウドソーシング

1)既存の思考にとらわれず、360度の視野で「空いているもの」を探す
2)「働いていない」「使われていない」「空いている」ものを活用する


■中間地点の発想

山手線の新駅のように「間にモノをつくる」という発想

かつてフィルムカメラは12枚撮り・20枚撮り・36枚撮りだった
訳を聞いてみると「前からそうだったから」という理由のセグメント

ユーザーを調べると20枚撮りでは少なく、36枚撮りだと持て余す状態
→24枚撮りというセグメントを打ち出したところ大ヒット
 ※原価1円も変わらないので下記のようなコピー。これもヒット要因
  「4枚増えて値段は同じ。どっちが得かよ~く考えてみよう」

私たちは多かれ少なかれ、既存の考え方に毒されている。
業界スタンダードが強いからこそ、「踏み荒らされていない場所」が存在する
→折衷案ではなく、大きな枠の中にスイートスポットを見つける!


■RTOCS

冒頭の発想メソッドのつづき。
RTOCSで発想力を鍛える場合、1人だけでなく4~5人でのブレーンストーミングが良い。
他人の立場に立つトレーニングなので人数が多いほど発想が増える。

応用として、「発想するレベルを上げる」という方法がある。
2つ上の立場で考えると良い。
ビジネスマンの多くは自分の職位に発想を縛られ、袋小路に陥っていることが多い。


■構想

最初から何かあるところにアイディアをプラスするのは難しくない。
しかし「0から1」の時には構想力が問われる。

広大な埋立地を屈指のモールに変えた森ビルとお台場ヴィーナスフォート、
同じく広大な湿地をテーマパークにした米ディズニーランド、
何もないところから最終的に人が喜び踊る姿を構想したから実現した。


~実践編~


■どんぶりとセグメンテーション

セグメンテーションには限界がある。
例えば家族4人でそれぞれが好みのシャンプーを使うだろうか?
トリートメントを含めると10本近いボトルが並ぶことに。

その場合は真逆に振り子を振る。
1989年に誕生したライオンの「ソフトインワン」
→これ1本あればいい、というどんぶり戦略が功を奏した事例


■時間軸をずらす

たとえば1,000万の自動車を目の前にすると躊躇するが、
「5年後には600万で売れます」と言われた瞬間に1000万÷5ではなく400万÷5に頭が変わる。

時間軸をずらすことで、「手が届くかも…」と思考が変化していく。
※PCなどの電子機器も"〇〇年使える"というフレーズで年数軸がずれていく


■横展開

「ZARA」で有名なインディテックス社

48時間以内に世界中のどの店舗にも配送できる、という物流システムを持っている
※通常アパレル業界では半年先・1年先のデザインを工場に発注している
 果たしてそれが"最新のファッション"だろうか?という業界常識を疑った発想

→参考にしたのはトヨタ自動車とFedExというまったくの他業種
 トヨタの「かんばん方式」=「必要なものを、必要なタイミングで、必要なだけ」
 FedExの宅配サービスを参考にし、巨大な物流センターをつくった

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■最後の1回で勝利すればいい


「やることすべて、成功する必要はない。
 何回失敗しようが、最後の1回で成功すれば、成功者と呼ばれる」
―――NIKE創業者、フィル・ナイト

「我々の世界は大相撲と違って1勝14敗でもやっていける。
 肝心なのは1勝できるかどうかだ。
 大企業は失敗を恐れて、8勝7敗で良いと思っているから怖くない。」
―――任天堂3代目社長、山内氏

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年11月7日
読了日 : 2017年11月7日
本棚登録日 : 2017年11月7日

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