(上下巻合わせてのレビューです)
長かった・・・。
実際、文庫本にして上下巻で1000ページを超える長さではあるのですが、個人的にはその1.5倍ぐらいの分量の話を読んでいるような印象でした。つまり文章一つ一つの密度がとっても濃い、労作であり力作なのです。
ただキングのように長さを気にせずどんどん読み進められるタイプのエンタメ小説ではないですね。私も読み終えるのに結構時間がかかりました。
面白かったかどうか問われればもちろんYESと答えます。冒頭から殺人が記述されているのでミステリとして読めるのはもちろん、サスペンス、悪魔祓いに代表されるオカルト要素、同性愛や兄弟愛といった禁忌など、盛りだくさんでお腹いっぱいになりました。登場人物がみな細かいところまできちんと描かれているのにも好感が持てます。ジュディ・プーヴィが特にいいですね。
不満もあります。まずリアリズム小説として読むと、学生が一人失踪しただけでこれほど大騒ぎするというのはあり得ないと思いました。また本家本元の『罪と罰』では最終的にラスコーリニコフがシベリア流刑という形で殺人に対するいわば公的な「落とし前」をつけていたのに対し、本作の終わり方はどうなんでしょうか。正直、私にはもやもやが残りました。これじゃあ農夫もバニーも浮かばれないのではないかと・・・
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外
- 感想投稿日 : 2017年11月4日
- 読了日 : 2017年11月3日
- 本棚登録日 : 2017年11月3日
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