藻谷氏の著書は、地域の課題解決に対して地元主導で実行可能なオルタナティブを示してくれる。
今回の著書では、各地で地域の医療、農業、商店街などの再生に取り組んでいるリーダーとの対談という形で、さまざまな取り組みを紹介している。
私が特に印象に残ったのは農業の再生にたいして「高付加価値化」や「6次産業化」という前に農業技術の維持・底上げをベースに取り組みをしている神門氏の取組みである。現場の実態を見つめているからこそ、このような視点での問題提起ができるのだろうと思う。
もう1点重要だと感じたのは、各地域のリーダーが、適切な課題分析とともに適切なゴール設定をしているということである。地域の活性化という視点で過去の最盛期の復活を夢見るのではなく、地域社会が持続的に残っていくために必要なサービスや売り上げがどのようなものなのかということをゴールにすることで、これまでとは違ったやり方が見つけられるということを教えてくれている。
地域の再生に全国一律の解はなく、であるからこそ地域の中にある課題解決の種をもとに、それぞれの地域が取り組んでいかなければならないのだろう。それが「しなやかな日本列島」というタイトルをつけた筆者の思いなのではないかと感じた。
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- 感想投稿日 : 2014年11月15日
- 読了日 : 2014年11月1日
- 本棚登録日 : 2014年10月30日
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