漁業と震災

著者 :
  • みすず書房 (2013年3月9日発売)
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感想 : 9
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本書を読みながら、自然の恵みを人間の暮らしの豊かさにつなげていく「第一次産業」を構築することの難しさを感じた。

特に、生産資源の管理や加工・流通の各プロセスにおいて、自然を相手とする不確実性を担保し、長期的に持続性のある漁獲を維持するためのこれまでの仕組みが、漁業を取り巻く環境変化によって揺れ動いている。

震災による漁業(漁労だけでなく、加工や流通なども含む)の影響を、様々なスケールの漁港都市や漁村で丹念に探りながらも、基本的には漁業を取り巻く環境変化への対応は、震災の前からも変わらず問われてきたものだということが、本書の一つのメッセージではないかと思う。

特に、これからの生産・流通の現場をどうやって守っていくのか、漁業協同組合対民間資本といった単純な観点ではなく、それらの特徴や役割を上手に組み合わせながらこれからの漁業を作っていかなければならないということを感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年12月13日
読了日 : 2014年11月21日
本棚登録日 : 2014年11月16日

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