「モテキ」「バクマン。」の大根仁監督のウェーイ系DQN観察映画です。
ウェーイ系DQNなんて自分と一番離れた異人種だし食指が伸びなかったのですが、大根監督の最新作が10月に公開されるし、放送でも話題になったので観てきました。
すごい面白かったと同時に、嫌な感覚を植え付けてくる映画でしたね。
まず役者陣が本物のDQNにしか見えません。
DQN特有の間延びした喋り方ってあるじゃないですか。男はヤニでザラついた声をしてるし、女は妙に甲高い。何喋ってるかわかんないし、何に笑っているかもわかんない。冒頭のKY地獄絵図はどんなグロよりも強烈でしたw
個人的押しDQNはトモコさんでコウジと別れるのが嫌で発狂するところは笑っちゃいましたw
ストーリーも面白かったです。登場する9人の若者は基本的に自分のことしか考えていません。自分が思うことは相手に共感してもらえないと気が済まず、そうじゃないとキレるか拗ねる。その場その場で相手によって話題を楽しんでいるフリはしているけど、内心人のことをバカにしていて平気で二枚舌を使う。自分の中にこれといった信念がないため行動に一貫性はなく、1時間前に言ったことを全く覚えていない。
だから観ている間は、「こいつらクズだなー」とか「ずるいなー」とか思うんだけど、観たあとハッと気づくんです。自分はこいつらと何が違うんだろうと。
自分にも特段誇れるポリシーもないし、相手によって態度を変えたり話を合わせたりするのなんて普通だし、嫌いな相手と何となく我慢して付き合って陰口も言ったこともある。
大体、この映画レビューだって「多様な価値観を認めます」みたいな柔和な態度を持っていても、本音を言えば観た人に共感してほしい!反論が来るとイヤだし、多分モチベも下がると思うw
人間はそうやってコミュニケーションの場を適当にやり過ごしている。心の通い合った会話が一番だけど、大体は無意味で即席のやり取りに終始してしまう。この映画のDQNたちを観ると自分と何ら変わりないことに気づくんです。
だからといって性根の通い合わないコミュニケーションのあり方を否定も肯定もしない。
それは恐ろしいのか、そんなもんなのか、その中にも真の絆はあるのか、
その答えは観た人それぞれの人生の中に隠されているのかもしれません。
- 感想投稿日 : 2016年7月11日
- 読了日 : 2016年7月26日
- 本棚登録日 : 2016年7月11日
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