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去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)
- 中村文則
- 幻冬舎 / 2016年4月12日発売
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この本に於いて、起承転結の結は、どこが始まりだったのだろう…?
自分が今いるところは、伏線の回収部分なのか、それともまだ、転部が続いているのか…。
不可解で曖昧な狂気に満ちた世界は、物語の骨組みという流れすらも、不安定にさせていく。
今にして思えば、それがこの作品世界に取り込まれるということだったのだと思う。
2016年5月25日
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犯人に告ぐ (上) (双葉文庫 し 29-1)
- 雫井脩介
- 双葉社 / 2007年9月13日発売
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ダナエ (文春文庫 ふ 16-5)
- 藤原伊織
- 文藝春秋 / 2009年5月8日発売
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俺が俺に殺されて (ノン・ノベル 830)
- 蒼井上鷹
- 祥伝社 / 2007年6月1日発売
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やっぱり、独特の世界観だなぁ。何冊か読んでみて、作品に出来、不出来はあるけれど、全体に漂うシュール感は「蒼井氏らしさ」として、評価していいものだと思う。ただ、読了から10日も経たないというのに、結末が瞬時に思い出せなかった今作は、残念ながら不出来に分類。他の長編を読んだときにも思ったが、蒼井氏は絶対に短編向き。短編や、ショートショートの方が切り口が鋭い。それにしても今作は、主人公が彼女を信用し続ける気持ちも、今一つわからない。結構ひどいオンナだと思うんですがね(笑)
2011年5月17日
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それでも、警官は微笑う (講談社文庫)
- 日明恩
- 講談社 / 2006年7月12日発売
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初日明作品。面白い本の基本ってやっぱり、人物が描けているかどうかなんだな。当たり前のことだけど、しっかりと人物が動きまわる今作を読んで、今更ながらそう思った。存在感のある良いコンビを作り上げていることから、日明氏はシリーズ化させる力量のある作家さんだと窺える。特筆すべきものは、潮崎の「新宿○」発言だろうか。笑わせてくれた。/それにしてもこの結末。今考えるれば確かに、一番良い終わり方だと思えるが、聡子に憤慨したのはきっと、私だけではなかったはずだ(笑)
2011年5月12日
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夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
- 米澤穂信
- 東京創元社 / 2006年4月11日発売
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えぇ確かに、前作を読んだ直後は、ブラック小佐内さんを希望致しましたがね。アレはまぁ、ユルカワ系の話に、ちょっとばかりスパイスを効かせてもらえると面白いかな、と思った程度でして。それが前作とは一転、まさかの激辛パフェになろうとは。うーん、お釈迦様でも気がつくめぇ。スパイス効きすぎですがな(笑)しかし、終盤、少々理屈っぽ過ぎる感が。/さてこれから。どうなる、小市民コンビ?待て、次号!(いや、もう、とっくに発売されてます/笑)
2011年5月3日
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春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
- 米澤穂信
- 東京創元社 / 2004年12月18日発売
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初米澤作品。表紙の通り、いつまでもほのぼの系が続いていたなら、読み手はたぶん飽きもしたし、続刊を読もうとは思わなかったかもしれない。しかし、後半になるにつれ、その雲行きが怪しくなってきたのは、嬉しい誤算。真の小佐内さんを知る、小鳩くんの心中も、笑わせてくれる。本人の願望とは裏腹に、読者はブラック小佐内さんを切に希望(笑)
2011年5月1日
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館島 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ひ 4-1)
- 東川篤哉
- 東京創元社 / 2008年7月30日発売
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コレはそのー、アレか?えーっと、いわゆる「バカミス」なのか?(笑)鯨氏に言わせれば、バカミスとは「よくこんなこと考えつくなぁ」という作品に対する賞賛の言葉だそうな。成る程、その考えでいくと私は、最高峰は島田氏の「斜め屋敷」だと睨んでいるので、この作品を次点としたい(笑)以前読んだ東川作品は、彼の売りであるはずのユーモア部分が、そりゃもー寒くて辛かったが、今回は思わず吹いてしまうこともあり、バカミスを結構楽しんでしまった自分がいて、ちょっと悔しい。(誉めてます)
2011年4月25日
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隠蔽捜査 (新潮文庫)
- 今野敏
- 新潮社 / 2008年1月29日発売
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最近の警察小説の質が高いことといったら!ただ、その主人公には現場の熱い漢を据えることが多いが、今作の竜崎には、それは当てはまらない。感情的でもない。彼は寧ろ冷静だ。いや、冷静であろうとする。官僚としての自分に誇りをもち、融通が利かない変な奴。だが、己の信じる正しさに迷いがない姿は、読者に彼を嫌な奴だとは思わせない。熱血漢という主人公が大多数を占める小説の中、極めて異色だが、同時に最大の魅力でもある。続編に期待。
2011年4月20日
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月の扉 (光文社文庫)
- 石持浅海
- 光文社 / 2006年4月12日発売
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ハイジャックと密室を題材にしたミステリ。同時進行とは畏れ入った。ちょうど出張中の飛行機の中で読んだので、妙にリアル(笑)過去読みの石持作品では、「セリヌンティウスの舟」に近いかな。/あらゆる可能性を想定した後、疑問点を根こそぎ洗い出し、矛盾を消去する。「Rのつく日」や「人柱」とは雰囲気は違っても、きちんと石持作風なので安心する。
2011年4月17日
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人柱はミイラと出会う (新潮文庫)
- 石持浅海
- 新潮社 / 2010年1月28日発売
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シリアス系からユーモア系まで。しかもその著作には、ドハズレは無いときている。やはり器用な作家だ。ただどちらの系統にも共通していることは、論理的に解を導いていこうとする、ロジック重視スタイル。私なんぞは、それこそがミステリの醍醐味だと豪語する人間なので、石持スタイルを嫌いなハズはなし。/今作はひとえに、設定の面白さの勝利だと言えよう。同じ日本人でありながら、アメリカ人のリリーと同じく、異国を覗いているような楽しい気分を味わった。それ故、最終話のラストが活きてくるということも、よく計算されている。
2011年4月4日
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地獄のババぬき (宝島社文庫)
- 上甲 宣之
- 宝島社 / 2006年11月10日発売
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出版社は、この本を続編だということ自体が、前作のネタバレになるとわかっているのだろうか。少なくとも私は、前作の文庫本にこの本の紹介が為されているのを見て、怒りを覚えたクチだ。もう少し、梗概を考えろと言いたい。しかし、くだらないと思いつつ、「なんじゃこりゃ」と呆れつつ、「下手くそな文章だな」と憤慨しつつ、何故か最後まで読まされてしまうのが謎(笑)ただ、比喩や「-っ」だの「!?」だの「かっ」だのの多用に、読んでいる間中うんざり。しかも、語り手が変わってもみんな同じ喋り方なので、誰の視点なのか理解するのに、時間を要した。
2011年4月2日
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ワーキング・ホリデー (文春文庫 さ 49-1)
- 坂木司
- 文藝春秋 / 2010年1月8日発売
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私は常々、坂木作品ほど読後感のいい本は、ないのではないかと思っている。 単に読みやすいというだけではなく、人と人との気持ちが通い合う話を書かせれば、この人の右に出るひとはいないかもしれない。 特に今作は、(現時点では)私にとって坂木ベストだ。 それにしても、最終話を電車で読んでしまったのは迂闊だった。 案の定、号泣する羽目になり、周囲の目をごまかすのが、そりゃもー大変で。 ハイハイ、完敗デス。
2011年3月27日
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the TEAM ザ・チーム
- 井上夢人
- 集英社 / 2006年1月26日発売
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なんとも小気味よく、潔い話。さすが大御所作品、ユーモアミステリの体裁をとっているにもかかわらず、余裕すら感じさせる。タイトル通り、なかなかのチームワークを誇るので、読書中のワクワク感は最高潮だが、強いて言えば、鳴滝には、もう少し切れ者でいて欲しかった。司令塔というには、言動が弱かったように思う。
2011年3月23日
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Rのつく月には気をつけよう (祥伝社文庫)
- 石持浅海
- 祥伝社 / 2010年8月31日発売
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学生時代から集う酒豪3人。 ちょっと気の利いた食べ物と、日替りゲストが持ち込む謎を肴に、今宵も盛り上がる。 ―実は読んでいる最中、私の気分は5人目の参加者だった(笑) 新刊の頃から目をつけていた本で、早く文庫落ちしないかと(オイ)、心待ちにしていた。 全体を通して仕掛けられたイタズラは、一話目で気になったはずなのに、その後の酒の席が楽しすぎて、すっかり忘れていたという間抜けなワタシ。 なるほど、健ちゃんの登場はこの役をさせるためだったのか。 とほほ。 油断した。 連作短編の怖さを思い知る春(笑)
2011年3月20日
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死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 5-1)
- 七尾与史
- 宝島社 / 2010年7月6日発売
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宝島社‐この出版社ときたら、海堂尊のような正統派作家の作品を大賞に据える陰で、「隠し玉」と称して、何やらとんでもない脱力系のB級作品をコソコソと世に送り出す。 読んでいてまさしく「なんじゃこら?」の世界なのだが、これがまぁ悪いことに、私も決してこの手の本を嫌いじゃなかったりするもんだから、ついつい手が伸びてしまう(笑) だって私は、読書は最高の「娯楽」だと思っていますから。 単純に「楽しめる本」、大いに結構。
2011年3月18日
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切れない糸 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M さ 3-4)
- 坂木司
- 東京創元社 / 2009年7月5日発売
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昨今流行りの自分パーセンテージで言えば、「僕の90%は、『お人好し』で出来ています」的な主人公に、和みつつ読了。過去に数作読んだ作品も含めて、坂木作品の印象は、とても丁寧だということ。風景、季節、伏線、過去に事件に関係した人たちと、今なお繋がっている現在を、とても丁寧に描く。この丁寧さ、安心感は、プロフェッショナル・・・そうだ、まさに作中の『商店街』そのものではないか。
2011年3月11日
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悪党たちは千里を走る (集英社文庫)
- 貫井徳郎
- 集英社 / 2008年9月19日発売
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スマートだとは言い難いのだけれども、その娯楽性が間違いなく、この本の魅力というか(笑) こんなに穴だらけの頼りない三人組を、「悪党」だと言い切ってしまうあたり、作者の「してやったり感」が伺えて、一本とられた気分になってしまう。 まったくもって貫井氏は、作品の幅が広い、器用な作家だと思う。
2011年3月7日
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ちあき電脳探偵社 (PHP文芸文庫 き 2-1)
- 北森鴻
- PHP研究所 / 2011年1月1日発売
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まさかのジュヴナイル版の出版。十五年ほど前の連載だと言うから、この本を読んでいた方々は、今では24歳前後ということか。小学3年生の段階で北森氏を読めたなんて、贅沢だと思うが、もしかしたら現時点で北森氏のファンになっている人が今作を手にして、幼い頃に読んだ本の作者が、まさかの北森氏だったなんて・・・と驚いているかもしれない。それを想像すると、北森氏のイタズラのような気がして、ちょっと顔がにやけてしまう(笑)サーカスの話など、面白い謎もあったので、もし私が小学生だったら、毎号を楽しみにしていたと思う。
2011年2月27日
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アイルランドの薔薇 (光文社文庫)
- 石持浅海
- 光文社 / 2004年9月10日発売
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最初は、少々とっつきにくいかと警戒していたのが、杞憂に終わった。 コレよ、コレ。 石持さん、私はこういう本を読みたかったワケですよ(笑) 石持作品は、基本的には好み。 推理の過程を楽しませてくれる、数少ない作家だと思う。 しかし、あと一歩のところで塩加減が足りないことがあり、残念に思うことも多々あるのだが、読後感も併せて、今作の味付けは絶妙だ。 頭の切れる男性は、やはり素敵なのだ。
2011年2月24日
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ヨコハマベイ・ブルース (光文社文庫 か 43-1)
- 香納諒一
- 光文社 / 2007年3月1日発売
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香納作品を読む度、彼はもう少し世間に知られてもいい作家なのになと、いつも思う。 『梟の拳』に登場した「呼び屋の金」が準主役。
2010年4月9日
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町長選挙 (文春文庫 お 38-3)
- 奥田英朗
- 文藝春秋 / 2009年3月10日発売
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伊良部シリーズは、読み物としてはやはりハイレベルの作品だと思う。 前作から、マユミちゃんがイイ奴に思えてきたことが嬉しい誤算。 逆に伊良部は、意表を突く生き物であってこそ正しいような気がしてきた。 やはり、表題作が良かった。
2010年4月9日
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シリウスの道 下 (文春文庫 ふ 16-4)
- 藤原伊織
- 文藝春秋 / 2006年12月6日発売
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やはり、私の中で藤原氏は別格なんだよなぁ。 決してスマートとは言えない、くたびれたオッサンや、ヤクザさえもかっこよく描いてしまう、それが伊織節。 今回は、今までにない若手の活躍が一番良かった。 本当に頭が良い人は、難しい内容を簡単な言葉で説明できる人だと言うけれど、藤原氏の読み易い文章は、まさにソレ。 読みながら、「ゾクゾク」「ワクワク」というオマケつき。 ただし、今作の出来は中途半端に感じる部分があるので、中の上としておく。
2010年4月19日
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シリウスの道 上 (文春文庫 ふ 16-3)
- 藤原伊織
- 文藝春秋 / 2006年12月6日発売
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やはり、私の中で藤原氏は別格なんだよなぁ。 決してスマートとは言えない、くたびれたオッサンや、ヤクザさえもかっこよく描いてしまう、それが伊織節。 今回は、今までにない若手の活躍が一番良かった。 本当に頭が良い人は、難しい内容を簡単な言葉で説明できる人だと言うけれど、藤原氏の読み易い文章は、まさにソレ。 読みながら、「ゾクゾク」「ワクワク」というオマケつき。 ただし、今作の出来は中途半端に感じる部分があるので、中の上としておく。
2010年4月15日