近年の日本政府も迷走し始めたローマ帝国には負けた。コロコロと
首相の首がすげ替わる日本を嘆いていたが、ローマでは僅か1年で
皇帝が5人も登場して去って行った。しかも穏やかならぬ去り方で。
軍団が自分たちの司令官を皇帝に推挙すれば、元老院はシビリアンを
帝位に据えようとする。内政の混乱は、外政へも影響を及ぼさずには
いられない。
以前のローマ帝国であれば暗殺された皇帝の始めたことでも、それが
合理的であるとなれば存続させた。しかし、次々と皇帝が倒れて行く
時代ともなると戦略面での一貫性も欠いて行くことになる。
そして、度重なる北からの蛮族の侵入に加え、アレキサンダー大王に
滅亡させられた「大ペルシアの夢をもう一度」で、ササン朝ペルシアが
ローマ帝国に戦いを挑む。
以前のローマ帝国であったのなら、講和を結ぶのは敗者とだけで
あった。それなのに、あと少しで勝てるところまで持って行きながら
勝敗もはっきりしないうちに相手と講和を結んでしまう。しかも、ローマ
が年貢金を支払うような屈辱的な講和なのだ。
余力がなくなった大国は、戦役を長引かせたくなかったのか。ローマ人が
ローマ人としてあった時代の誇り高さはどこへ消えたのか。
尚、ササン朝ペルシアとの戦役ではペルシア王の策略に引っ掛かり、
時の皇帝が生きたまま捕囚となっている。帝国始まって以来の屈辱に、
本国の元老院は「あの皇帝はいなかったこと」にしてしまった。
あぁ…こんなの、もうローマじゃないよ~~。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史(世界)
- 感想投稿日 : 2011年9月6日
- 読了日 : 2011年9月6日
- 本棚登録日 : 2011年9月6日
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