ドラグネット 監視網社会――オンライン・プライバシーの守り方

  • 祥伝社 (2015年4月25日発売)
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感想 : 7
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インターネッにトは利用者を監視する網が張り巡らされている。それは
ある程度分かっている。しかし、アメリカ政府がインターネット関連会社
に利用者情報を提供するよう要請し、少ない企業が情報提供している
ことを知った時には愕然とした。

近年の一番の衝撃はエドワード・スノーデンによる暴露だろう。本当に
「ここまでやっているのか」と思うほどに、私たちの情報はどこかから
漏れている。

では、情報の漏えいをいかにして抑えるか。そんな課題に挑戦したの
が本書の著者である。

アジア系の旦那様がおり、ふたりの子供の母であり、ジャーナリストで
ある著者はインターネット上で収集された自身の個人情報が売買され
ている現実に直面する。

さぁ、どうやって自分の情報を守ろうか。いくつかのソフトを試し、検索
サイトを大手から小規模なサイトに変更し、インターネット上に架空の
アイデンティティを作り上げる。

この架空のアイデンティティの話、日本じゃどうなんだろうな。著者は
架空の人物に名前を付け、クレジットカードの発行まで出来ている。
ただ、架空人物のことを旦那様に明かしていなかったので彼女宛ての
郵便物を旦那様に捨てられていたなんて笑い話もあるんだけど。

著者でなくとも個人情報の売買に関しては心配になる。大手通販サイト
で閲覧した商品が別のサイトの広告で表示される追跡型広告。最近
では慣れてしまったが、このタイプの広告が表示され始めた頃、「なん
でここで?」と思ったもの。

結局はプライバシーを守ろうと思ったら、手間がかかるのだ。仕事柄、
専門家や研究者の助言を得られる著者がいろいろと防御方法を試し
てはいるのだが、読んでいるだけで面倒臭そうだったもの。

いくつかのソフトを組み合わせ、長いパスワードを作り、自分に仮名を
与えて偽のアイデンティティを構築し、携帯端末は電波を遮断する
ケースに収納し…。

もし、私のような一般人が著者と同じように自身の情報を防御しようと
思ったらまず出来ないだろうな。だって、私は著者のようにテクノロジー
に詳しくはないのだもの。

個人情報を守ろうとすることは利便性を犠牲にすることでもある。私たち
はインターネットを手に入れ、どこでも使える携帯端末を持ち歩く生活を
特別なことだとは感じなくなっている。

その利便性の反対側には個人情報を差し出すという行為があるんだ
よな。いっそのこと、インターネットの使用を止めてしばえば多少は情報
の漏えいがなくなるのかもしれない。でも、無理だわ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年8月22日
読了日 : 2015年12月26日
本棚登録日 : 2017年8月22日

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