購入してから読み終えるまでに半年くらいかかったんじゃないだろうか。読み慣れない文体に何度かつまづいて、それでも諦めずに読み切ったのは、本のあちこちに散りばめられた素敵な表現を探すのが楽しかったからで、途中からはほとんど宝探しのような気分で読んでいた。特に「美しさ」にまつわる言及の中には好きなものがたくさんあった。
――風俗は滑稽に見えたときおしまいであり、美は珍奇からはじまって滑稽で終る。
――自分の気に入ったものだけを取り上げて、自分で美しいと思ったものだけに筆を集中しながら、自分の気に入った言葉だけでもって、美しい花籠を編みます。
――美は人を沈黙させる
――凡庸さを美しく見せ、全体の中に溶けこますことが、小説というこのかなり大味な作業の一つの大事な要素なのであります。
(いずれも本文から引用)
文章読本といっても小説の話ばかりなので、私が文章を書くときにここに書いてある内容をそのまま役立てられるかと言われると違うかもしれないけど、テクニックよりもっと根本のところの、どういう文章を書きたいかとか、どういう文章を読みたいかとかを考えることができそうだなと思う。
【読んだ目的・理由】人にすすめられて
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.0
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
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その他
- 感想投稿日 : 2018年1月5日
- 読了日 : 2018年1月1日
- 本棚登録日 : 2018年1月1日
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