アメリカにとって同盟とはなにか

  • 中央公論新社 (2013年2月22日発売)
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アメリカにとって、伝統的に他国の政治体制はその国を評価する重要な基準であった。建国以来、新社会アメリカは旧社会ヨーロッパと政治体制とその奉ずる価値の側面で根本的に相違があるとアメリカは認識してきた。

アメリカは伝統的に同盟をヨーロッパ的国際秩序の属性として拒否してきた。WW2が終わり冷戦が始まるとアメリカは西ヨーロッパ諸国や日本と安保条約を結んだが、これらを普遍的な組織であると国連の集団安全保障と何らかの形で結びつけることで旧来の同盟条約ではないという体裁をとった。

アメリカ外交の底流には孤立主義が根強く存在していることも確か。しかしこの孤立主義は価値の同盟的潮流うの対概念として説明しうる。

WW2後のアメリカの対中東同盟政策は確固とした安定的な同盟関係に支えられたものではなかった。むしろアメリカが中東地域で譲れない価値や利益を保持するためにその時々に新たな同盟国を求め、失うことの繰り返しだった。

仮想同盟のむずかしさの1つは仮想敵国に脅威を与えることなく、いかに同盟に対する軍事的対応を構成国間で調整、整備するかという点にある。脅威が潜在的であれば仮想同盟も潜在的でなくてはならないため、構成国間の安全保障協力は仮想敵国を直接の対象としない、後者に脅威を与えない性格のもであるひつようがある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国際関係
感想投稿日 : 2013年6月26日
読了日 : 2013年6月26日
本棚登録日 : 2013年6月26日

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