仏教の身体感覚 (ちくま新書 845)

著者 :
  • 筑摩書房 (2010年5月8日発売)
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仏陀は人間存在、あらゆる生命の在りよう、それ自体の限界を認識したうえで、そこに生まれる無限におよぶいのちの関係、つながりを慈しみという言葉とともに説いた。
いのちだけではない、もの、あらゆる現象は変化してやむことがなく、いかなる存在もそれをそれとしているような普遍の本質をもたない。しかも、その一つ一つの存在はそれぞれが目に見えない関係によってつながり、いのちがいのちであることを示されている。
苦行によってタパスが生まれる。自己修練によって苦を乗り越えていく。その先に精神的な至福が待っている。
人は誰もが現実に生きていることへの不安から、この不安はなにが原因で生まれたのかということを考えざるを得ない。こうした不安とともにある人間にとって、空の思想と一体の演技の思想をもって現実に向き合うことは容易ではない。
ヨガのはじめであり、核心といっていい、瞑想という実践。
私の周囲に広がる果てもない空間には生命を生命として生命たらしめている宇宙エネルギーともいうべき力が働いている。ときに世界は仮の姿であり、ただ心がそうさせているだけなのだ、と思いに立ち留まってみる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仏教・禅
感想投稿日 : 2010年6月19日
読了日 : 2010年6月19日
本棚登録日 : 2010年6月19日

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