これはまた珍妙な書物を読んでしまったものだ……「私」と「僕」、「旅人」がそれぞれ語り手となって織り成すストーリーは虚実の皮膜を食い破り、フィクション/ノンフィクション/メタフィクションへと縦横無尽に語り口が変わる。イタロ・カルヴィーノを意識した語り口もあり、その他古典文学からのオマージュあり。不勉強な私にはついて行けない部分が多々あったのだけれどともあれ東中欧文学が辿った壮絶な歴史がこうしたポストモダンな実験に反映されたものであることは良く分かる。愛おしいほど不器用な、そして愛らしい一冊であると思わされる
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年5月7日
- 読了日 : 2017年5月7日
- 本棚登録日 : 2017年5月7日
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