NHK取材班がゲノム編集の革命「クリスパー・キャス9」という技術についてクローズアップ現代で放送された。本書はそれを書籍化したものとなる。
iPS細胞の山中教授が序文に書くように、この技術は「簡単である」「成功率が高い」「多様な生物に適用できる」という特長を持つことで、遺伝子工学の世界を大きく変えたと言ってよい。これまでの遺伝子組み換え技術は当てずっぽうに変更したものを戻して確認するというような偶然に頼った技術であったのが、より高確率で狙った遺伝子を編集することができるようになった。すでにクリスパー・キャス9の編集ツールのカタログまで出ていて、安い値段でオンラインで発注することもできるようになっている。あまりにも簡単にできるので、早々に生命倫理面含めた議論の整理が必要であるとも言われている。
いずれヒトの生殖細胞にも適用するという議論が起きるに違いない。遺伝的疾病の治療のためならよいのか、など倫理面で課題が起きることも想像できる。この研究では中国がかなり先行しているという話もある。倫理面と企業の研究開発力の問題でもあるのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
科学
- 感想投稿日 : 2017年1月1日
- 読了日 : 2016年9月13日
- 本棚登録日 : 2016年9月10日
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