植物の本ではない。あまりにも有名な牧野日本植物図鑑の裏に、ライバルがいた、という話。
牧野富太郎は「一方でズボラと見える時は必ず一方で精励して持ち前の凝り性を発揮して居る」という、なんだか嬉しくなるような性格の持ち主で、それ故大学でも次々ぶつかっていく。一方のライバル、村越三千男は、残された資料は少ないものの、当初既に植物の権威であった牧野に仕事を頼みながら、やがて離反していく。破天荒でありながらメジャーになった牧野と、無名ながらもその実績は牧野を脅かした村越。後世の名声のほとんどは牧野のものになる。しかし、「牧野日本植物図鑑」と名乗ることになった背景には村越の存在があるはずだと著者はいう。当たり前だと思っていた「一番」の影にあった別の「一番」を知る興奮、好奇心。ニコラ・テスラのことを始めて知った時のような、知らなかったことの愉しさ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2 歴史
- 感想投稿日 : 2013年4月23日
- 読了日 : 2013年4月22日
- 本棚登録日 : 2013年4月21日
みんなの感想をみる