百閒先生は母の気に入りで、小さい頃から拾い読みばかりしていたので、2010年の最後に通し読み。
愛猫ノラが失踪してしまい、泣き暮れる百閒先生のお話。ほんとに冗談でなく泣いてばかりいるので、せ、先生そんなこっちまでつられるじゃないですか…という感じです。
先生があんまり悲しんでいるので、わたし猫を飼っていなくてよかった、と思いましたけれど、飼う喜びは失う悲しみに勝るものなんでしょうか。「ノラ来簡集」を読むにつけ、どちらとも言い難いのだろうなと思います。
ノラだけでなく、宮城道雄や、昔身の回りの世話をしてくれていた青年、取材旅行のカメラマンなど、実はさりげなく死(あるいは喪失)の色濃い本でもありますね。カバー見返しにある「おかしみの中に人生の深淵をのぞかせる」という百閒文学らしいところなのかなと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ・ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2011年1月3日
- 読了日 : 2010年12月31日
- 本棚登録日 : 2011年1月3日
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