ノラや (旺文社文庫 121-23)

著者 :
  • 旺文社 (1983年1月1日発売)
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本棚登録 : 27
感想 : 5
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 百閒先生は母の気に入りで、小さい頃から拾い読みばかりしていたので、2010年の最後に通し読み。
 愛猫ノラが失踪してしまい、泣き暮れる百閒先生のお話。ほんとに冗談でなく泣いてばかりいるので、せ、先生そんなこっちまでつられるじゃないですか…という感じです。
 先生があんまり悲しんでいるので、わたし猫を飼っていなくてよかった、と思いましたけれど、飼う喜びは失う悲しみに勝るものなんでしょうか。「ノラ来簡集」を読むにつけ、どちらとも言い難いのだろうなと思います。
 ノラだけでなく、宮城道雄や、昔身の回りの世話をしてくれていた青年、取材旅行のカメラマンなど、実はさりげなく死(あるいは喪失)の色濃い本でもありますね。カバー見返しにある「おかしみの中に人生の深淵をのぞかせる」という百閒文学らしいところなのかなと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ・ノンフィクション
感想投稿日 : 2011年1月3日
読了日 : 2010年12月31日
本棚登録日 : 2011年1月3日

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