ぶらんこ乗り (新潮文庫)

  • 新潮社 (2004年7月28日発売)
3.82
  • (945)
  • (832)
  • (1114)
  • (128)
  • (40)
本棚登録 : 7293
感想 : 927

ハードカヴァーの方を挙げたいのだけど、わたしが読んだのはこちらなので、文庫版。いしいしんじ初の長編。
おねえちゃんの一人称で語られる、弟との物語。「私」は弟のことをわかってあげられていなかったのでは、と悩むけれど、でも、「わかって」いなかったからこそ、弟にとっては意味があったのだろう。「わかって」いなかったけれど、「わかって」いないまま、そばにいて、みていてくれたから。孤独は誰のなかにもあって、そのひと個人に属するよりほか、仕方のないもの。手をつなぎあうことは、いつだっていのちがけだ。
いしいしんじの描く孤独は、ふるえるほどにありのままで、でもだからこそ、胸に響く。その孤独を抱えているからこそ、人々はつながりあうのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 子どもの本
感想投稿日 : 2009年7月27日
読了日 : -
本棚登録日 : 2009年7月27日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする