著者の「にぎやかな天地」でチラリと触れられた話が、ひとつの物語としてここに。
(気になっていた部分だったので、とってもコウフン!)
相変わらず美しく巧みな文章ですね。
物語としても、宮本輝の中でかなり上位に食い込むであろう…という程好きです。
(前編なのにこんなこと言っていいのかしらん)
大坂は十三にある通称「骸骨ビル」
そこのオーナー・阿倍轍正と、その友人・茂木泰造に育てられた孤児達。
そして立ち退きを命じるためにやってきた、主人公の八木沢省三郎。
とにかく、登場人物皆がいとおしすぎる…。
(沢山出てくるので覚えるの大変ですが…誰か相関図とか作ってくれないものか!)
一人一人必死に生きてきた物語があり、ヤギショウさんに語ることで徐々に明らかにされ、それが人物としての立体感を出していて思わず感情移入してしまいます。
薄っぺらくないんですよねェ〜確かにそこに彼らの息遣いを感じるわけです。
避けて通れない戦争の記憶。
胸を抉り耳を塞ぎたくなるようなものばかりです。
(とくに、ヒロコ姉ちゃんの空襲の…拙い想像力ながら映像が頭に浮かび、吐き気がする…)
彼らがどうなっていくのか…どういった決着をみせるのか…
かなり好きなお話なので、下巻できれいに終わらせてくれることを願うばかり!
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年5月5日
- 読了日 : 2013年4月19日
- 本棚登録日 : 2013年4月17日
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