フリービデオカメラマンとなったルーがロサンゼルスで最弱のテレビ局へ通い、特ダネコンテンツを売るところあたりから、この映画はどんどん観客を物語へ引き込んでいく。
とある交通事故で出会ったフリーカメラマンがきっかけとなり、報道スクープ専門の映像パパラッチ、『ナイトクローラー』を知ることになる主人公ルー。
テレビ局は視聴者が求めているもの、つまりそのルーが撮ってくるショッキングな映像は喉から手が出ほどに欲しがる。何故なら皆が間違いなく興味を持って注目してくれるからだ。(視聴率!)
メディア自体が病がかっているところも女性ディレクターを中心に見せる。
テレビ局もコンテンツが売れるのでどんどん要求がエスカレートし、ルーもどんどん過激さが増す映像を探し求める。そして一線を越える。
突発的に起こった物語、その真実を伝えるのがメディアだと思われがちだが、そこで働く人々も普通の弱い人間だということ。日本だと想像しにくいのかもしれないが、「テレビとはそんなもの」でしかない。
カメラを通して真実を伝えることよりも、どれだけ(視聴者が)見たいと思える映像を撮るか、物語を作り出せるかに焦点が移っていってしまう。それが犯罪であれ、違法であれ、ルーはその魅力に取り憑かれたかのように仕事をする。その仕事はまさに狂気。しかし、登場人物の誰よりも人間らしい。
そしてテレビはどんどん視聴者を引き込んでいく。
エンディングがこれまた良い。
悲劇という、見たい真実に常にカメラは向けられる。
狂っている。人間嫌いの主人公ルーはとことん狂っている。でも、それを単に、あいつだけが狂っている(他はそうじゃない)と言い切れるか。自分がルーであれば、ああはならないと言い切れるのかな、、とも思わされた。(最後の目線も良い!)
いい映画だった。
- 感想投稿日 : 2016年7月19日
- 読了日 : 2016年7月19日
- 本棚登録日 : 2016年7月19日
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