子育ては心理学でラクになる

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  • 主婦と生活社 (2015年2月27日発売)
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子育てをしていてイライラするのは特殊なことではありません。けれども、「親がイライラしていると子どもがうまく育たない」というのも、真実。子どもが健やかに成長するには、やはり親の接し方が第一なのです。 もし「子どもが親の言うことを聞かなくて困っている」と悩んでいるなら、まだ問題は始まっていません。「どうにかして親の言うことを聞くようにさせたい」という考えは、ここできれいに捨て去ってほしいのです。 解決しなければならないのは、「なぜ親の言うことが聞けないのか」という子どもの問題と、「なぜ子どもに聞いてもらえないのか」という親の問題、この2点です。 なぜ「やらなければならないことがある」とわかっているのに、やる気になれないのでしょう。それは目の前にある楽しいほうを選んでしまったから。片づけよりも遊び、勉強よりもマンガ、そして面倒なことはいつも後回し…。 高圧的に従わせようとするのも、「自主性」に任せて放っておくのも、結果的に子どものためにならない。だとすると、どうすればいいでしょう。 実は、話は簡単です。・子どもが聞いてくれないのなら、子どもが聞いてくれるような言い方、導き方をすればいい。・「子どもに対してイライラしてしまう」という一番大きな問題については、イライラしなければいい。 よい習慣が身につかないのは、「子どもに意志力がない」ことに原因がありました。「意志力を持ちなさい!」と言っても、子どもが変わる可能性は低いもの。ですが、あなた自身が意志力を持って何かを始めれば、それは必ず子どもへ感染し、子どもの意志力を高め、必ず子どもは変わり始めます。 何かを実現しようと思ったら、一度やると決めたことをやり遂げる「意志力」が必要です。それは、サボろうとする欲求を抑えると同時に、さまざまな誘惑に屈しない自己コントロール力と、目標に向かう集中力を生み出します。 これらを高めて目標達成のために、そしてよりよい自分になるために必要な力を、「ウィルパワー」と呼びます。 ケリー・マクゴニガルによると「潜在能力を引き出す力」には、3種あります。それは「やる力」「やらない力」「望む力」の3つの力です。 ダイエット中にスイーツバイキングに行ったと仮定すると、ケーキを選ばないようにするのが「やらない力」、ノンカロリーのゼリーを選ぶのが「やる力」。あるいは疲れて帰宅し、「毎食必ず料理する」という決意が鈍りそうになったとき、デリバリーピザを頼む誘惑に勝つには、「ピザを頼むことは〝やらない〟」力と、「たとえ簡単なものでも料理を〝やる〟」力を同時に発揮させます。 このように、「やらない力」と「やる力」は車の両輪のように働いて誘惑に打ち勝ち、よりよい行動へと導いて、自分の決意をより強固なものにしてくれるのです。 目的を達成し、なりたい自分になるため、人間関係を良好に保つため、そしてなによりストレスの少ないよりよい人生を創るために必要なのは、意志力だけではありません。もうひとつ必要なもの。 それこそが「自己認識」。つまり自分自身を理解することです。 人は睡眠不足状態のとき、ストレスや衝動、誘惑に負けやすくなります。 自由自在に動くためにエネルギーが必要なのは、体だけではありません。脳も同じです。特にエネルギーを必要とするのは、前頭前皮質。「やる力」「やらない力」「望む力」を司る場所、ウィルパワーが生み出される場所です。 子どもの悪習慣は、自分で修正させること。そのために必要なのは「命令」でなければ「お説教」でもありません。ましてや「怒鳴りつけ」でもありません。 まず取りかかるべきことは、いきなり本人を変えようとするのではなく、子どもを取り巻く環境を変えてしまうこと。 環境が変わると動き方も変わります。動き方が変わると、習慣が変わります。そうすると考え方が変わり、本人が変わっていくのです。 子どもとよく会話している家庭は親子関係が良好で、反抗期はあっても激しいものにはなりません。「親に話す」習慣が身についているからです。また、親のほうは常に会話しているので子どもの変化を捉えやすく、「あえて放っておいたほうがいい」「きちんと話したほうがいい」という的確な判断ができるようになります。 コミュニケーションがとれている家庭では子どもの意志力や自制心も順調に育ちます。さらに、やる気を生み出し、勉強のモチベーションも上げてくれるのです。 「わかるよ」が必要なのは、幼い時期だけではありません。反抗期、親の言うことを聞こうとしない子どもに対しても「わかるよ、面倒くさいもんね」といったん受け入れることで、子どもの調子を崩すことができます。親のイライラをやわらげる効果もあるので、ぜひ使ってみてください。 100点取ったことがすごいのではありません。がんばって勉強したことがすごいのです。感謝状をもらったことがすごいのではなく、自分からいいことをしたことがすごいのです。 ですから、理想は「結果が出る前に、素早く・的確に褒めること」。勉強をしていたら「1時間もやってすごい」と量を褒めるのではなく、「集中ぶりがすごい」と質を褒めることも重要なポイントです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 子育て
感想投稿日 : 2015年10月11日
読了日 : 2015年9月11日
本棚登録日 : 2015年9月11日

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