思ったよりも面白かった。
「キミトピア」を読んで、これはまた斬新な作家さんに出会ってしまった!と衝撃を受け、「阿修羅ガール」を読んで正直あんまり面白くて、今作に至る。どうでもいいけど。
話はトントン拍子に進むところが良かった。舞城氏は口語文体の作品が多く(それしか読んだことないかも)、そこがまた独特な世界観を生み出せていると思う。
ミステリィで、タイトル通りぜんぶ密室モノ。
挿絵がちょこちょこあって、想像力、読解力に欠ける読者を助けてくれるところもベリィグッ!
この作品というか、まぁ本を読んでいつも思うことだけど、どんな突飛なキャラクタが描かれていても、そういう人もいるかもしれない...と思える所が人間の不思議なところだと思う。
この作品でも、登場人物はなんだかみんな変わってる。主人公はまともっぽい。(つか主人公の一人称で話が進められてるからまともじゃないと困る。)むしろ変わってるからキャラ立ちするのかもしれないけど、描写の仕方によっては僕らだって誰だって変わってると思う。
人間は感情ってものがあって、同じものを見て、触っても、感じ方は違う。立場やそれぞれの状況も異なってくる。そこんところが色々なことを色々なふうに複雑にしてしまうように感じる。
この作品では、主人公を取り巻く登場人物に近い人があっさり死んじゃって、あっさり話も進む。でも現実だってそうだ。色んな死に方や人による感じ方の差もあるだろうけど、人はあっさり死ぬし、時間は止まってくれない。現実は淡々と続いていく。
だけどその出来事は心に刺さった棘みたいに残ってる。棘だから取り除くことは出来るだろうけど、刺さった深さによってはそれは容易じゃない。
この作品は人間がもつ複雑さと棘を取り除くための道のりの話だと思う。
主人公たちが大人になりきれない子どもなのも良かった。でもなんだか行動力ありすぎてビビる。おわり。
- 感想投稿日 : 2014年5月21日
- 読了日 : 2014年5月21日
- 本棚登録日 : 2014年5月13日
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