[裏側、覗いてみました]民主主義が根付いており、生活は満ち足りており自然も豊か......。日本人が一般的に有しているであろうそんなスイスのイメージをひっくり返すようなスイスの裏の一面を描いた作品。歴史から経済に至るまでの知られざるスイスの側面を垣間見せてくれます。著者は、赴任が決まるまではスイスに関する知識は皆無に等しかったと語る福原直樹。
「黒い」と題されてしまうとなんともゴシップ感が漂ってしまうのですが、スイスが抱える過去の、そして現在の問題が丁寧に記述されており、スイスという国を考える上での良い材料を提供してくれているように思います。ヨーロッパの中でも独特の位置を占めるスイスについてちょっと違った角度からの情報を仕入れたいと考えている方にオススメできる一冊です。
また、本書からはスイスという国が持つしたたかさ、そして(おそらくはスイスに限らず他の国にも見られるであろう)国家の暴力性というものが読み取れました。そしてこういう本を書かせるまでの「黒さ」をもってしてもなお、その著者に下記のとおり言わせることのできるスイスの懐の深さも感じることができ、興味本位で本書を手に取りましたが有意義な読書体験をすることができました。
〜一度心をゆるせば、その付き合いが、一生に及ぶことも少なくない。そんな彼らの国で、なぜこのような不幸な出来事がおき続けたのか……。それを理解しようとしたのが、この本でもある。〜
行ってみたい国の1つです☆5つ
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年5月4日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年5月4日
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