姫君 (文春文庫 や 23-5)

著者 :
  • 文藝春秋 (2004年5月11日発売)
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本棚登録 : 1491
感想 : 199
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[恋、奉り候]自ら「姫子」という源氏名を名乗りながらホームレス生活をし、拾った男の欲望の操縦に生きがいを見いだす女性の恋模様を描いた表題の「姫君」。欲望の視点から主人の女性を観察した「フィエスタ」を含む全5編の短編を収録した作品。理性とはとっくの昔に袂を分かった女性の内なる心情が描かれています。著者は、直木賞受賞作家でもある山田詠美。


「姫君」の鮮烈さが特に印象に残りました。一般の読者からすれば180°倒錯した恋の物語でありながら、それを読み進めるうちに次第に360°一回転して純情すぎるほど純情な恋の物語になってしまうところがなんとも不思議。その終わり方を気に入るかどうかは読者それぞれに依るところと思うのですが、諧謔性も含まれた恋に焦がれさせてくれる短編として非常に秀逸だと思います。


山田詠美さんの作品を始めて手に取ったのですが、用いられる表現が時として強烈というところにも興味が持てました。普通に考えていたらこんな言葉出てこないだろうし、逆に出てきたら変な感じになっちゃうだろと思いながら、その強烈な言葉のイメージに絡めとられてみるのも一興かもしれません。

〜春は、唇が、溶けやすい。〜

ホワイトデーですか、そうですか☆5つ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年3月14日
読了日 : 2014年3月14日
本棚登録日 : 2014年3月14日

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