イスラームと世界史 (ちくま新書 216)

著者 :
  • 筑摩書房 (1999年9月1日発売)
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本棚登録 : 63
感想 : 4
5

[多様な入射角から]二十世紀の終わりを目前にして、日本人のイスラーム研究の第一人者である筆者が、歴史について様々な思考を試みたエッセイ集。 タイトルにあるイスラームを始め、中央アジアやロシア、日本史や歴史観など、多様な角度から歴史の本質に迫る言及がなされています。著者は、『イスラームと国際政治』、『ラディカル・ヒストリー』など多数の著作を有する山内昌之。


(本書のタイトルが少し内容に鑑みてミス・リーディングな気はしますが)歴史の面白さ、そしてそれに深い洞察を有することにより見えてくる異なる地平の有意義さがひしひしと感じられる作品でした。エッセイが書かれた時期は今から15年ほど遡るのですが、今顧みてもまったく古さを感じさせない内容になっています。これも目先のことばかりでなく、一つ遠くを思いやる著者の時間感覚がある故のことなのでしょうか......。

〜「文明の衝突」とは、存在するものではなく、つくられるものなのである。そして、その神話をつくりだすのは、欧米だけとは限らない。欧米とくにアメリカの実力を無視したイスラーム主義者による挑発も、「文明の衝突」を現実化する要因であることを忘れてはならない。〜

知識量とそれを活かす鷹揚さがスゴい☆5つ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年6月22日
読了日 : -
本棚登録日 : 2016年6月22日

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