スティル・ライフ

著者 :
  • 中央公論新社 (1988年3月1日発売)
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本棚登録 : 160
感想 : 41
4

読み終わった後のこの不思議な感覚は何だろう‥
テレビの音声を消して映像だけで世界遺産の風景を視ているような、静かで俯瞰的な感覚。
あるいはプラネタリウムに映し出された星座群が
降りかかってくるような‥。

しかし天体や景観の話ではなく、そういった“広い世界”が自分の内側にもあり、それが外の世界と上手く呼応し調和できた時、人は風のように、波のように、生きるのが楽になると説いている。

主人公の“ぼく”はアルバイトの染色工場で出会った佐々井とう男に、奇妙な仕事を依頼される。
ミステリーめいた謎を秘めながらも作者独特の
美しい日本語に感嘆させられる。
一つ一つの言葉の持つ煌めきと静かな語り口が
読み手の心に心象風景を生むでしょう。癒しの一冊。
図書館で借りて再読。芥川賞受賞作。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ◇芥川賞受賞作&候補作
感想投稿日 : 2011年2月20日
読了日 : 1990年11月1日
本棚登録日 : 2010年2月20日

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