欧州各国のエネルギー事情は全く異なるが、それを淡々と紹介した本。
最後にまとめているように、欧州では、発送電を分離し、発電会社を自由化して、市場で発電分担をきめさせる(p227)だとすれば、もっと違う整理の仕方もあったと思う。
たとえば、二酸化炭素をだす発電手法には、炭素税をかけ、原子力発電は、独立した企業がまとめて保有して廃炉までのコストを乗せて売電するといった、社会的費用を内部化する仕組みをつくって、市場にエネルギー分担を決めさせるというのが、そのまとめからいって筋だろう。
その意味では、「エネルギーシフト」というタイトル自体が、エネルギーの分担率を政策的にシフトさせるようで誤解をまねく。
自然と市場が決める方向にシフトしていくという意味にならないとおかしい。
全体を通じて、いろいろ、原子力に制約をかけつつ、社会的費用にみあった方向に時間をかけて誘導するという、冷静な手法を欧州ではとっていると理解した。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
自然科学
- 感想投稿日 : 2012年10月15日
- 読了日 : 2012年10月15日
- 本棚登録日 : 2012年10月15日
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