アラブ革命はなぜ起きたか 〔デモグラフィーとデモクラシー〕

  • 藤原書店 (2011年9月16日発売)
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感想 : 21
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 文藝春秋の推薦本で、購入。

 フランスの人口分析とか歴史分析が専門の人らしい。たくさん邦訳もでているが、自分は初見。

 トッドの説は非常に単純。

①男性識字率があがる→女性識字率があがる→出生率が下がる、とそこが抜けて、革命のような動きが起こるという。

 チュニジア、エジプト、リビア、パレスチナ、バーレーンなど、この基準を満たしているという。

 本当は、サウジアラビアとか首長国も満たしているのだが、ここは石油収入で食べていて税金をたらないので、革命が起きにくいという。

②共産主義は、結婚しても家庭に残り、遺産も均等に配分する「外婚制共同体家族」で起こるという。ロシア、中国、インド北部、ユーゴ、ハンガリーなど。

 ヨーロッパでもフィンランドやイタリア中部はその傾向があるので、昔から共産党が強いという。

③直径家族、長男が家を相続していく家族体は、ドイツと日本。ここはなぜか、車が通っていなくても赤信号で止まるという。

 フランス人はドイツ人がきらいなんだね。日本人もそれに巻き込まれている。

 なんとなく、識字率があがらないと情報も伝わらないし、出生率が下がるというのも女性の権利が尊重されるような環境になるというのは、革命が起こるのと関係ありそうな気がする。

 なんでもイスラム原理主義のしわざと考える傾向のあるフランス人への逆説的、強調としてよめば理解できる。

 内容は、最後のp161のトッド人類学入門をちらっとよむだけで十分理解できる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国際関係
感想投稿日 : 2011年11月20日
読了日 : 2011年11月20日
本棚登録日 : 2011年11月20日

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