二十歳の原点 [新装版]

著者 :
  • カンゼン (2009年4月15日発売)
3.77
  • (9)
  • (22)
  • (12)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 326
感想 : 33

読後感はちょっと不思議な感じ。そもそも著名人ではない人の日記という物を読んだことがないので、書かれていることがどれくらい重みがあるのか良く分からなかった。どうでも良いような日常のつぶやきの様であり、その後主人公の運命を決める告白であるような、読んでいる時は判断がつかない。もう一つは学生運動。私が学生だった時は、学生運動が盛んであった時からそんなに年月が経っている訳ではないのだが、学内にその雰囲気はほとんどなかった。かろうじて建物の落書きがその当時を偲ばせるくらいで、全くリアリティはなかった。従って、学生運動を戦った人のリアルな話を聞いたことがなかったので、妙に新鮮というか、もっとはっきり言うと、そんな訳の分からない建て付けでやっていたのか、というのが正直なところ。そして、最も不思議なのが作者が自殺した経緯。日記を読む限りは全く分からない。確かに死をほのめかす記述は沢山出てくるのだが、死を決意したという風には感じられなかった。作者は死の直前に両親に会いに行き、決別したようであるが、娘の死に直面した両親の心の痛みはどれほどであっただろうか。娘がまさか自殺するとは思わなかった?ここに書かれているのは本人の日記であり、後記も本人の略歴のみなので、両親の思いというのは記されていない。ある意味本書全体が淡々としているのである。それが両親の狙いなのかもしれないが、作者の心の叫びを感じた読者からすれば、不思議というか、何か心の核心に届かないもどかしさに繋がっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年3月9日
読了日 : 2014年3月9日
本棚登録日 : 2014年3月3日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする