まく子 (福音館の単行本)

著者 :
  • 福音館書店 (2016年2月25日発売)
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本棚登録 : 1853
感想 : 253
5

西加奈子の作品はどれも想像を超える。
読み終わった瞬間 すごい!!やられた!!と思う。
人間にとって大切な永遠のテーマをこんな形で描くなんて。
永遠でないからこそ美しく 優しい。

私達は皆その場所から来ているのに、生きているうちに、その場所のことをすっかり忘れ、
戻ることを怖がるようになる。

わたしは今まで2回、そちらに戻る者を送る瞬間に立ち会った経験がある。

主人と愛犬と。

どちらもすごく穏やかで、その瞬間を静かに
自然に受け入れていた。

主人が旅立つ時、わたしはこの本のUFOのような
大きな光に包まれた。

一瞬だったけどはっきり覚えている。

その時に感じた。

死は怖いものではなく自然なもの。
ドアを開け隣の部屋に行くように、誰にでも訪れる当たり前のこと。
そして私達の粒(魂)は永遠なのだ。

私達は違う粒だから違っで当たり前。
同じ場所から来て、同じ場所に帰り、
そしてまた違う人間になり生きていく。

その事をいつも感じていれば、すべての人を認められ優しくなれる。

なぜ人間は自分の本質を忘れてしまうのだろう。

動物はちゃんとわかっている。
だから死の瞬間も、それを静かに当たり前のこととして受け止める。

老いることも、死ぬことも彼らには自然なことだ。

そして穏やかに自分の中、宇宙へと帰って行く。

西加奈子の作品は、いつも最後にじわーと静かな涙が流れてくる。

心の奥底から滲み出てくるような涙だ。

自分が忘れていた世界を、一番大切なことを思い出ささせくれる。

彼女の作品にはいつも魂を揺さぶられる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年3月21日
読了日 : 2017年3月21日
本棚登録日 : 2017年3月21日

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