君と彼女と彼女の恋。初回限定版

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感想 : 3
4

日々手を変え品を変え、様々なジャンルや新しい形式が増えている美少女ゲーム。

本作品も今までにない斬新なスタイルのゲームではありますが、本質的には“プレイヤーがヒロインと恋をする”という美少女ゲーム本来の姿を突き詰めた作品になっていると思います。

本作品では、プレイヤーの身代わりであるはずの主人公とは別に、プレイヤー自身も物語の登場人物の一人です。
普段何気なくプレイしているゲームの、“ウィンドウ越しに居る自分”を意識させられる仕様となっており、それはゲームの箱を開けた時から始まっています。このような細部に至る演出が本当に素晴らしいです。

大がかりな演出も大変良くできていて、まさに現実と虚構の狭間を行き来しているよう。
ここまでプレイヤーを巻き込んでくれるゲームは初めてで、驚きの連続でした。

『君と彼女と彼女の恋。』というゲーム自体は、アオイの言っていた通り元々は美雪と主人公の恋の為のゲームなのでしょう。
話の筋で考えれば、最後は美雪を選ぶのが自然のように感じます。
しかし、そこにプレイヤーの感情が入ることで、それでもアオイを選びたいと思う人も当然出てきます。

当たり前ですが、この選択はプレイヤー個々の感情や価値観で左右される事をふと意識させられ、面白く感じました。

私は最終的に美雪を選びました。

その一番の原因は、ランダムで設定されているという美雪の性格。
それを知らされた時は思わず唸り、3の30乗の中から選ばれたらしい私のゲームの美雪に愛着が沸きました。
完全に製作陣の思う壺な気がしますが、やられましたw

美雪の口から語られる、美少女ゲームのヒロインという悲しく虚しい存在。そんな存在だけど生身の人間に熱烈に恋をしている彼女。
彼女が大切にしていた“数”の意味を知って思わず胸がきゅーっとなりました。
現実の私にとっては、ただの差分であり気まぐれだったその選択が、虚構の中で生きる彼女にとっては大切な事実であったことに、そりゃそうだなと納得してしまい、何だか申し訳なくなりました。

彼女から向けられる“永遠の愛”と、やっぱり所詮はゲームとしてしか観れない自分との温度差に、罪悪感と愛しさを覚えずにはいられませんでした。

美雪を選んだことであっけなく消えてしまったアオイの面影が見える場面ではとても切ない気持ちになりますが、やはり私には美雪しか選べません。

色々と荒削りに感じる部分もありますが、こんな気持ちにさせられるゲームは初めてで貴重な体験が出来たと思います。

・シナリオ:★★★☆☆
・雰囲気:★★★☆☆
・キャラクター:★★★★☆
・音楽:★★★★☆
・演出:★★★★★

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ゲーム(ADV)
感想投稿日 : 2013年7月26日
読了日 : 2013年7月25日
本棚登録日 : 2013年7月14日

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