唐草物語 (河出文庫 し 1-23 澁澤龍彦コレクション)

著者 :
  • 河出書房新社 (1996年2月1日発売)
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あとがき、ことに、引用されたボードレールのことば、「あらゆる模様のうちでアラベスクはもっとも観念的なものだ」という一節が、テーマにも似て十二篇の物語を貫いているように思う。しかし、どの物語も、性行為との縁・無縁はおいて非常にエロティックであるように、私には感じられた。また、『遠隔操作』では、自分との類似をすこしだけ感じてふふっと笑ってしまったけれど、いかにも博学な澁澤龍彦らしい物語群であるだろう。あらゆる文章が知識によって裏付けられ、本来の意味での換骨奪胎とを成し遂げており、幻想文学たる条件を自ら示している。ふわっふわの現代小説に疲れたときに、とくに読み返したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年5月7日
読了日 : 2017年5月7日
本棚登録日 : 2017年4月26日

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