七夕の織姫の異称になぞらえて語られる、七編の連作ミステリー。
神代から江戸時代までの連綿とした時の流れの中で、泉のほとりで機織りをする姫君とその隠れ里にまつわる物語が、史実に絡みながら巧みに織り込まれている。
連作を読み終える頃には、一族の断片的な物語が繋ぎあわされ、まるで鮮やかで美しい織物を眺めるかのよう。
元々は古事記や万葉集、古今集の短歌から話を想像して書かれているので、読後に原典や史実を調べる楽しみもある。
姫君の一族の女たちの、したたかさと同時に揺らぎを抱えているような生き方も印象的。
文章がとても美しく、ゆかりの和歌も彩りを添えていて、幻想的で豊かな世界観が楽しめました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年8月30日
- 読了日 : 2011年7月20日
- 本棚登録日 : 2011年8月30日
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