泳ぐマグロと切り身のマグロは結び付けて想像できる。けれど、牛や豚はどうでしょう。屠場というのは、まさに、生きた牛・豚と切り身の牛・豚の間にあるもの。
その実態は世間から見えにくいものだったために、屠場はあたかも大量殺戮工場というような、恐ろしいものとして語られがちだったようです。まあ、牛や豚には頭も手足もあるし、人間にある程度近いものだということもあるのでしょうが・・・。
そんな中でこの本は、屠場の労働者、そして屠場と言う解体工場の特殊さを教えてくれます。つまり、工場は流れ作業なのだけど、そこには人の手でしか出来ない仕事があり、そうしたプライドから労働者たちが結束をしていて、一人一人が生き生きと仕事をしているということです。
穢れと言う文化、部落問題という社会問題、また劣悪な労働環境を覆す労働組合の運動など、屠場を通じていくつかの問題が提示されています。面白い本だと思います。
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- 感想投稿日 : 2012年11月25日
- 読了日 : 2012年11月24日
- 本棚登録日 : 2012年11月19日
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