せきしろさんの自由律俳句と散文からは、少年時代へのセンチメンタルの塊みたいなものと、上京してからお金がなくて困った思い出を感じる。
共通するのはどちらの記憶も現在からは遠くなりすぎて、全部が愛おしくなってしまっているような気がすることだ。
(いやなことだってたくさんあったはずなのに、時間が経つと過去が輝いて見えるのはなぜなのだろう)
又吉さんの自由律俳句と散文からも同様にセンチメンタルを感じたがそれは少し種類が違うようにも思えた。自意識過剰であるがために、他者との関係がいわゆる”普通”ではなかったことに対する憤りのような感情も含まれている気がした。
「なんやおれだけ人とちがうやん」という寂しさ。
二人のセンチメンタルが合わさり、より感傷的な本になっていると思う。
学校からの帰り道一人で歩きながらどうでもいいことを真剣に悩んでいたときのこと、友人と遊んで大騒ぎしたあと一人になってとてもむなしくなったこと、家に帰ると母親の書置きがあって安心したことを思い出した。
二度と帰れない、輝いて見える遠い日々。
(『耳をすませば』を観たあとの感情に似てる気がする)
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
せきしろ
- 感想投稿日 : 2016年2月7日
- 読了日 : 2016年1月31日
- 本棚登録日 : 2016年1月31日
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