弟の進学資金のために強盗殺人を犯した兄。
他界した両親のかわりになろうと懸命に働いたが、身体を壊してしまい、盗みに入ることしか兄には思いつかなかった。
兄の事件により、大学進学をあきらめ就職した弟。
生活がうまくいきそうになるたびに足を引っ張るのは兄が犯罪者であるという事実。
弟はバイト先で、バンドで、恋愛で、就職先で、”身内が強盗殺人犯だから”つらい思いをし続ける。
刑務所から届く兄からの手紙の、のんきな言葉に弟は苛立つ。
弟には支えてくれるひとも、つらくあたるひとも、距離を置くひともいた。
彼はそれらを受け入れ、努力し、自力で大学まで卒業する。
月日が経ち、”強盗殺人犯が身内にいる”という迫害は自分の娘にまで襲いかかる。そして弟は兄と縁を切ることを決心する。
被害者の家で弟が読んだ手紙。兄の想い。
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加害者の身内に罪はあるのか。法的に見ても罪はもちろんない。
しかし、そこにあるのは絶対的な差別と迫害。
作中で書かれているように、
罪を犯すということは自分だけじゃなくて、身内まで巻き込んで社会的に死ぬということ。
自殺ではなく、身内を巻き込んだ無理心中。
負の連鎖は続く。
罪を償うとはどういうことなのか。
悲劇を背負い続ける苦しみ。自分の家族に悲劇を背負わせる悲しみ。
それが想像できたら罪を犯さないんだろうけど。イマジン。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
東野圭吾
- 感想投稿日 : 2013年10月14日
- 読了日 : 2013年10月8日
- 本棚登録日 : 2013年10月8日
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