ゴヤの全キャリアを、経年的に、史実に照らして通観する。
ゴヤくらいだと、史料もかなり豊富に残っているのに、それでも「伝説」が生まれてしまう。
作品の印象で、反骨で狷介孤高な画家だったような気がしてしまうが、野心家で、宮廷画家として王室や有力者とうまくやってた、しぶとくも複雑な人だったのね。
カルロス4世国王夫妻とか、私らが見てイケてない肖像も、満足して受け取ったらしい(べつに、鈍感すぎて、美麗に描かれてないことに気付かなかったワケじゃないと思う)。あの頃の上つ方は、そんなに自分を見た目よく残したいとか思ってなかったのね(そんなこと気にしないで生きてられる立場なワケだし)。
有名なカルロス4世一家の集団肖像画だって、“ゴヤによる辛辣な批判で、国王達の暗愚さを表している”のだと思うのは、はっきしいって、王室の面々(特に国王夫妻)の容姿がパッとしないってだけの理由によっているワケで、自分らの、外見による偏見を逆にえぐり出される気がして、はっとしました(爆。
図版がオールカラーなのもよい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
西洋美術(絵画)
- 感想投稿日 : 2010年6月8日
- 読了日 : 2010年5月16日
- 本棚登録日 : 2010年5月16日
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