米中もし戦わば 戦争の地政学 (文春e-book)

制作 : 赤根洋子  飯田将史 
  • 文藝春秋 (2016年11月29日発売)
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感想 : 6
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カリフォルニア大学教授が書いた、アメリカから見た中国論。…と言うよりも、トランプの政策顧問が「中国は危ない!」と主張している本。
センセーショナルな邦題がついていますが、原題は「Crouching Tiger: What China's Militarism Means for the World」で、「臥虎(地に伏せている虎):中国軍国主義が世界にとって意味するもの」という感じでしょうか。
日本版の解説が防衛省防衛研究所の人というあたり、文藝春秋しっかりしてるなぁという印象を受けました。。

主張としては、にべもなく纏めてしまうと「軍事予算削ってる場合じゃないぞ!」で、F-22、F-35といった第五世代戦闘機なんかは予算削減で配備機数が少なくなった中、中国にハッキングされてばんばんコピー作られちゃってるのでヤバいぞ、と警鐘を鳴らしています。
非対称兵器の恐怖というのはあぁなるほど、と感じました。破壊しようとする対象と比べて非常に安価な兵器を、今中国はたくさん配備していて、例えば高価な空母に対して、たくさんの小型高速ミサイル艇で襲えば勝ててしまう。アメリカも同様に対抗すべきだという主張です。
本書で扱っている内容は純粋に軍事的な話だけでなく、当然地政学にも触れ、世論操作等の情報戦にも触れ、中国の至近の紛争となりうる要因(尖閣諸島も入ってます)に触れ、中国内部の状況にも触れ、と非常に網羅的な印象を受けました。
「中国政府の第一にして最優先の目標は中国国民の福祉の向上ではなく、中国共産党の権力の維持である」というのはその通りなんでしょうが、なんとも。

トランプ大統領、孤立主義かと思ってましたが、この本を読む限りだとそうならないし、現にその方向性に向かっているような気もします。
ボリュームもそう重くない感じで、訳も読みやすかったので、ちょろっと読んでみても良いのでは。(5年、10年後に読んでもあまり意味がない本な気がします)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: なんとなく興味ある圏
感想投稿日 : 2017年4月9日
読了日 : 2017年4月9日
本棚登録日 : 2017年4月1日

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