サカサマのパテマ (小学館文庫 わ 9-7)

  • 小学館 (2013年10月8日発売)
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本棚登録 : 86
感想 : 5
3

エイジの住むアイガでは、空は忌むべきものとして教えられ
人々は日々を俯き気味に生きていた

パテマの住むエジンでは、足りない物資を補うために
人々は前を見つめて日々を精力的に生きていた

穢れた空に思いを馳せながら寝転ぶ少年の耳に
頭上のフェンスの鳴る音と、少女の声が届く
驚いた少年の視線の先で、少女は必死に落下しまいとフェンスにしがみついた

少女の足下に広がるのは底のない大穴
ただただ青い、空だけだった——







劇場版『サカサマのパテマ』を観る前に既に本は買ってあったのだけど
ネタバレ回避のためようやく読了!
映画を観ただけでは少し謎な部分もあったので
小説で補完できて良かった!

映画では結局アイガの天井がなんだったのかわからず
ラストを見ても何故エジンの人々がずっと地下に暮らしていたのかもわからず
イザムラは単なるロリコンの狂人にしか見えず
と、色々と足りない部分もあったのだけど
その辺りも含めてきちんと裏付けというか説明がなされていて
スッキリした
これを読んだ後にまた映画観たかったかも
DVDの発売を待とう…








しかしなんというか…
結局どうあっても、アイガだけを重力操作で元に戻すことは出来ないのだから
パテマとエイジは生涯、同じ大地を並んで歩くことは出来ないのだなぁと
希望に満ちたラストとはまったく違った印象ばかりが残った
もちろん、今後部分的、あるいは超単体的に重力を戻す技術が開発されるかも知れないけど
そうでなければ空中に渡した板に二人で乗るか
エイジの体重分のエジンの重しを足にはめて逆さ吊りになるしかないよね…
下世話な話、二人は結ばれても子どもすら作れないのでは…
いや、そこまで深く裾野を広げることもないけれどもw
心以外は相容れないのかなぁと寂しさを感じる


あと児童向けを意識しているのなら仕方ないけど
小説の表現が所々薄ら寒い感じがしたのは読んでて少し苦痛だった
少しだけだけども

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル(SF)
感想投稿日 : 2014年1月22日
読了日 : 2014年1月22日
本棚登録日 : 2013年10月11日

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