“それぞれの過ちに―”
ロンドン社交界の花形モリーが亡くなった。痴呆状態で迎えた哀れな最期だった。夫のいる身で奔放な性生活をおくった彼女の葬儀には、三人の元恋人たちも参列。やがて彼らは、モリーが遺したスキャンダラスな写真のために過酷な運命に巻き込まれてゆく。
「悲しみだけのメロディーではなかった」クライヴ
英国を代表する作曲家。道徳性を重んじ、故人の意思を尊重しようとする彼は、見つかった写真が世間の目に触れないよう事を運ぼうとする。彼の思う、モリーが本当に望んだこととは一体何なのか。
「癌の万能薬というのは意味をなさない」ヴァーノン
辣腕の新聞編集長。厳格で仕事第一の彼にとっては、今回の事件は他に類を見ない特ダネ。周囲の意見を押しのけ、是が非でも写真を手に入れようとする中で、彼は旧友のクライヴとも対立を余儀なくされていく。
「われわれ全員がだまされていたんだ」ガーモニー
強面の外務大臣。次期首相候補であり、政権交代を間近に控えた彼は、自らの保身のためなんとあっても醜聞は避けなければならない。あらゆる権力を行使して写真の存在を葬ろうと画策するが。
イギリス文学の奇才、イアン・マキューアンによる洗練の極みの長編。一歩でも間違えば身を滅ぼす細い綱の上、果たして最後に笑うのは誰なのか。98年ブッカー賞受賞作。
そんなお話。
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- 感想投稿日 : 2016年2月17日
- 読了日 : 2016年2月16日
- 本棚登録日 : 2016年2月16日
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