戦争に隠された「震度7」: 1944東南海地震・1945三河地震

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  • 吉川弘文館 (2014年7月15日発売)
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昭和19年12月7日発生した東南海地震。そして、その37日後昭和20年1月13日に発生した三河地震。
この二つの地震は、中京工業地帯の軍需工場に大きな被害をもたらし、特に中島飛行機、三菱航空機等の世界最高水準であったともいえる航空機産業への影響は大きく、日本の敗戦を早める原因の一つになったともいわれる。
だからこそ、これらの地震に関する情報は、軍の機密情報として秘匿され、公表されることはなかった。

本書は、これら2つの地震の全体像の把握、報道の実際、そして生存者の被災体験という3つの章で構成されている。本書は、これらの地震の経験を、将来の防災に活かすという意図で書かれている。
しかし、私が強く感じたのは、やはり特定の利益のために情報が秘匿されることは、多くの国民にとっては不利益になるということ。
最初の地震に持ちこたえた住宅の多くは、2度目の地震によって、倒壊し多くの死者、負傷者をだした。
津波に対する情報の少なさは、避難の機会を失わせ、被害者を増やす結果となる。
今日でも、原発事故をめるぐ報道には様々な意図が見え隠れする。特定の人、団体の特定の利益のために情報が秘匿され、操作されることは、多くの国民にとっての利益にはならないことが容易に想像される。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 防災
感想投稿日 : 2014年8月25日
読了日 : 2014年8月25日
本棚登録日 : 2014年8月25日

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