結婚生活は難しい―。
結婚したことのある人間なら、誰もが知っている。それはお互いがまったく違う人間で、違う性格・違う価値観を持っているから。「人生を共にする」というのは、そのお互いの違いを理解し合い、受け入れ合うこと。恋の情熱に燃えている間は意識しなくても自然とできるが、5年10年と月日が経ち、情熱がかつての淡い思い出になり始めると、途端に難しくなる。
それ以降はお互いの誠実さと謙虚さ、地道な努力が必要になるからだろう…。それを怠ると、あっという間にローズ夫妻のようになる。確かにオーバーな表現だと分かっているが、根っこのところでは誰でもあれと同じなのだ。
難しいのは、人は年齢と共に性格(価値観)が変わってくるということ。若い男女の時はお互いが理解しあっていても、中年になってそれぞれが違う意識に目覚めてきた時、以前とは違う「新しい関係」築き直せるか…。オリバーは責任ある重役の立場になり、バーバラは自立心に目覚める。それは若い頃の何もなかった2人とは違うのだから、また新しい関係としてお互いの距離を作りなおさなくてはいけない。
映画では、それができなくなった時に彼らの崩壊が始まるわけだが、とても示唆に富んでいて勉強になる。ブラックユーモアだが、それを心から笑えないのは、誰しも程度の差はあれ、ローズ夫妻と同じような思いをしているからだろう。
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- 感想投稿日 : 2012年8月18日
- 読了日 : 2012年8月18日
- 本棚登録日 : 2012年8月18日
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