うつ病休職 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社 (2017年5月16日発売)
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本棚登録 : 146
感想 : 26
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 現代の社会問題にもなりつつある、うつ病からの休職。どのような過程を経て病気になり、休職に至っているのかを読み解いている本著。

 うつ病が増えた原因として診断基準が変わった、端的に言えばうつ病のハードルが下がったことによる、本来抑うつ状態と認定されるもの=うつ病になりつつあるということ。そして、本質的には労働環境の悪さが招いた患者の苦悩が、うつ病にすり替えられているという現象とでも言えばいいのか。現代社会に起こるべくして起こったような感じが正直否めない。

 読んでいて実感することもあるし、うつ病≠抑うつ状態ではないことも分かった。ただ、この本にこんなことを望んではいけないのだろうけど、寄り添う感じがほとんど感じない。医者として感情に振り回される医者も嫌だけど、これだけ冷静に判断を下され断罪のように審判を下している感じがして、読んでいて冷たい文章に感じた。まぁ、フィクションでもないからそうあるべきなんだろうけど…。

 ためにはなったし、人として現代の社会問題の一片を知る意味でとても勉強になったけど、好きにはなれなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2017年7月30日
読了日 : 2017年7月30日
本棚登録日 : 2017年7月30日

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