四畳半神話大系 (角川文庫)

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著者 : 森見登美彦
spring18ticketさん 小説 フィクション   読み終わった 

学業どころか恋愛やサークル活動やバイトにすら精を出さない冴えない大学生が主人公。彼だって新入生の頃は沸き上がる希望に胸を膨らませていたはずなのに。こんなはずではなかった、どこで何をどう間違えたのかと後悔と焦燥の毎日。ではあの時あの選択をしていたら、本当に未来は輝かしいものであっただろうか?を解き明かす、パラレルワールド短編集!

京都を舞台に京大の学生を暗躍させるのは森見氏の得意ネタ。ただ、平行世界だけあって各章のプロットがほとんど同一。ここはさっきと一緒だから読みとばそう!と何回も思ったけど、いやいや著者がさりげな〜くひねったかもしれないと思うとなかなか省略できず、イライラと読みました。

無益な悪戯好き!というところでは主人公の悪友、小津は「宵山万華鏡」の乙川に似ているんだけど、何故か全く魅力を感じませんでした。蛾も華やかなモチーフではないし、四畳半は狭くて汚いし、明石さんも地味なキャラクターで好きになれなかったな。「宵山万華鏡」で見せてくれた感傷的なまでの古都の美しさはいずこへやら。

で、結果として主人公はどちらにどう転んでも着実に似たような現在に行き着くようになっています。人がその人自身である限り、いくら違う選択をしたからといって、180度人生が変わっていたなんてことはないってことでしょう。間違ったと思っている過去の選択も、一大決心したあの時も、これでよかったと感謝している出来事も、みんな流れるべきところに流れていくための布石だったのかな。なんて、人生を考えてしまうお話でした。

レビュー投稿日
2011年3月13日
読了日
2010年12月25日
本棚登録日
2013年12月1日
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