きつねのはなし (新潮文庫)

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著者 : 森見登美彦
spring18ticketさん 小説 フィクション   読み終わった 

前作からはうって変わってトーンを抑えてあります。水際立った静けさ。暗闇の奥底をうごめく魑魅魍魎がそっと笑いかけてくる、ぬばたまの怪奇譚。なるほど表紙もまっくろです。凝った言い回しをこねくり回すだけじゃなく、シンプルにこういう文章も書くんだなと思わせてくれます。ファンのかた必見。

直接話は繋がっていませんが、続けて読むに連れて不気味さが増幅していきます。各章に共通するモチーフからしてうすら暗い。狐の面。胴の長いケモノ。もののけに魅入られた人々。水の音。溺れる夢。足下から寒さがこみ上げてくるような空気感がしんしんと伝わってきます。

どの話にもオチがないので、淡々とした情景描写を楽しめない方にはおすすめできません。「太陽の塔」や「夜は短し歩けよ乙女」経由でたどり着き、森見登美彦氏の阿呆なストーリーを期待している方は注意されたし。そしてひとりの夜道にはくれぐれもお気をつけて。

レビュー投稿日
2011年3月13日
読了日
2010年12月25日
本棚登録日
2013年12月1日
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