ここ3年くらい愛聴しているラジオ番組、『文化系トークラジオLife』の本です。
社会学者の鈴木謙介(愛称:チャーリー)さんがパーソナリティを務めるLifeは、若手から中堅のライター、学者など5〜6人をサブパーソナリティに迎えて、月に一回、日曜深夜から月曜朝にかけての3時間の生放送で一つのテーマを語り尽くすという番組です。おバカな話から深い話まで聞けてかなり楽しめます。
ラジオ放送は関東圏のみなので、無料で全部配信されているポッドキャストを聴いています。応援と木戸銭がわりにと思い、本を購入しました。
番組のファンにとっては番組の裏側が覗ける楽しみがあるはもちろん、「新しい場所をつくりたい」という熱意で番組を立ち上げ継続してきたプロデューサーとパーソナリティの話は、ラジオに限らず、何か新しいことをはじめようとしている人にはとても参考になるのではないかと思います。世にあふれる自己啓発本よりはこちらのほうがためになると思います(たぶん)。
第一章:番組の黒幕こと長谷川プロデューサーが番組を立ち上げるまでの経緯、継続していくための努力が語られます。
第二章:いずれもポッドキャストでは聞いたことのある回なのですが、文字に起こされることで、発言の流れや意図が追いやすくなっていること、引用されている文献を確実にあたれることなど、そして効率的に内容を把握できます。ライブ感はやや損なわれるものの、文章で読むことでまた別の意味内容が感じられて新鮮でした。
第三章:サブパーソナリティの斎藤哲也氏によるパーソナリティの鈴木謙介氏へのインタビューです。Lifeをはじめたころの精神状態、関西の大学に就職したことによる抑うつ状態の裏話なども興味深いところですが、最も印象に残ったのは、番組開始当初、番組内容の(匿名にて)文字おこしを自ら行ってウェブ上にアップしたり、関係者に長文のメールを送ったりしていた理由を聞かれて、「」と答えているところ。新しい場を作る際には、リーダーが誰よりも汗をかくこと、ちょっとどうかしているんではないかというほど汗をかかないと、まわりはついてこないだろうということは常々思っていてそれを実践されていることがわかりました。
- 感想投稿日 : 2013年3月7日
- 読了日 : 2013年3月7日
- 本棚登録日 : 2013年3月7日
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