焼き餃子と名画座: わたしの東京 味歩き (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2012年9月28日発売)
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4

老舗から町かどの名店まで
東京の美味しい店180店ををふらりと食べ歩く
お腹が鳴る鳴る東京散歩エッセイ。


なんと言っても
タイトルが秀逸。

自分と同じく
映画好きで食いしん坊体質なら
もう瞬殺でしょう(笑)


初めての店に行く時は
失敗してもいいように
文庫本を一冊買う平松さん。

「活字さえあればどうとでもなる」という
読書家の平松さんだけに
共感もしきりだし、

いろんな本屋さんや買った本の話も
ちらほら出てきます。


西荻窪では
昭和の濃い匂いがプンプン漂う
タイ料理屋「ぷあん」の
カレー二種類の盛り合わせランチ。

代々木上原では
ふわっとしているのにもちもち食感の
「ハリッツ」のドーナツ。

四ッ谷見附、三栄町では
昔懐かしいお母さんの味わいのカレーが食べられる
「じゃがいも」。

新橋では
自然卵と生パン粉を使い
三元豚の霜降りをラードで揚げた
「燕楽(えんらく)」のとんかつ。

神保町では
富士山の四季を模した
「揚子江菜館」の
元祖冷やし中華と
観たばかりの映画のワンシーンを肴に頂く
「天鴻餃子房」の
生ビールと焼き餃子。

吉祥寺では
闇市の匂いを残す
ハーモニカ横丁散歩。

日本橋では
かぐわしい酸味と甘い香りに
味覚が冴える
「高島屋」フルーツ専門店「レモン」の
フルーツサンドウィッチ。

銀座では
創業明治18年の老舗蕎麦屋「よし田」の
コロッケ蕎麦と、
軽やかに美味しい
名物バー「ロックフィッシュ」の
ハイボール。


平松さんのお得意の
見事な比喩表現を駆使した
品のある美しい文章に、

ここに書いてある店だけは
「行かずに死ねるか!」
という気分にさせてくれる(笑)



美味しい料理って何なんやろ?

また行きたくなる店って
なんなんやろ?


高いから美味しいわけじゃない。

人気があるから
お気に入りになるわけじゃない。

お洒落じゃなくても
特別美味しくなくても
通い続けたい店は沢山ある。


お気に入りの料理には
何かがきっと溶けている。

作ったその人から出た何かが。

人を安心させ包み込んでくれるような
何かが。



食いしん坊体質や
いただきます体質のアナタなら、
読んでる間中
脳内幸福物質が分泌され続けますよ(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 料理・食べ物本
感想投稿日 : 2013年4月21日
読了日 : 2013年4月21日
本棚登録日 : 2013年4月21日

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