吉本新喜劇、近鉄電車、奈良公園など
自分も関西人だけに
まるで実家に帰省したみたいに
肩の力を抜いて
一気に楽しめました(笑)
庶民的な中華料理店
「戸村飯店」の次男
戸村コウスケと
兄のヘイスケの兄弟を主人公に、
章ごとに弟と兄、
交互に視点が変わる構成で、
仲の悪い兄弟の
本当の思いが
徐々に露わになっていく。
個人的には
大阪の風土に馴染めず
いつも居心地の悪さを感じていた兄の心情に
思いっきり感情移入してしまったなぁ〜(^_^;)
仲が悪かった兄弟が
少しずつ歩み寄っていく姿は
なんとも微笑ましいし、
特筆すべきは
ピアノ少年の北島くんと
野球バカのコウスケとの友情の描き方が
瀬尾さんの面目躍如って感じで
ホンマ瑞々しいんスよ(笑)
戸村飯店に守られてきたコウスケが
自分を突き動かす
たった四行の手紙と、
兄から送られてきた
幸運のアイテム「てる子」と共に
自分の足で歩き始める姿は
じんわり目頭が熱くなりました(T_T)
そして小説家を目指すヘイスケの親友
古嶋の台詞、
「本当に人々を救うのは文学で、
小説を書くことで
何か少しでも
光を生み出せるようなことをしたい」
はまさに瀬尾さん自身が
読者に伝えたいことだったりするのかな。
(現にいつも瀬尾さんの作品から
光を貰ってる自分がいるし笑)
この作品が描くもの。
それは兄弟の
切っても切れない絆と、
誰もが一度は
暖かい場所から旅立たなきゃいけないということ。
人間は自分のことは
何ひとつ分からない生き物です。
だからこそ
自分の欲望を知るために人は、
人と出会う旅に出なければ
いけないんですよね。
物語のラスト、
まさか吉本のベタなギャグで
泣く日が来るなんて
思いもせんかったなぁ〜(汗)(>_<)
うっとうしくなることも多いけど(笑)
俺もやっぱ大阪が好きやって
改めて思えた小説です。
瀬尾さん、ありがとう!
- 感想投稿日 : 2013年1月28日
- 読了日 : 2013年1月28日
- 本棚登録日 : 2013年1月28日
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