戸村飯店青春100連発

著者 :
  • 理論社 (2008年3月20日発売)
3.92
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本棚登録 : 1962
感想 : 401
4

吉本新喜劇、近鉄電車、奈良公園など
自分も関西人だけに
まるで実家に帰省したみたいに
肩の力を抜いて
一気に楽しめました(笑)




庶民的な中華料理店
「戸村飯店」の次男
戸村コウスケと
兄のヘイスケの兄弟を主人公に、

章ごとに弟と兄、
交互に視点が変わる構成で、
仲の悪い兄弟の
本当の思いが
徐々に露わになっていく。



個人的には
大阪の風土に馴染めず
いつも居心地の悪さを感じていた兄の心情に
思いっきり感情移入してしまったなぁ〜(^_^;)



仲が悪かった兄弟が
少しずつ歩み寄っていく姿は
なんとも微笑ましいし、

特筆すべきは
ピアノ少年の北島くんと
野球バカのコウスケとの友情の描き方が
瀬尾さんの面目躍如って感じで
ホンマ瑞々しいんスよ(笑)



戸村飯店に守られてきたコウスケが
自分を突き動かす
たった四行の手紙と、
兄から送られてきた
幸運のアイテム「てる子」と共に
自分の足で歩き始める姿は
じんわり目頭が熱くなりました(T_T)


そして小説家を目指すヘイスケの親友
古嶋の台詞、

「本当に人々を救うのは文学で、
小説を書くことで
何か少しでも
光を生み出せるようなことをしたい」


はまさに瀬尾さん自身が
読者に伝えたいことだったりするのかな。
(現にいつも瀬尾さんの作品から
光を貰ってる自分がいるし笑)




この作品が描くもの。

それは兄弟の
切っても切れない絆と、

誰もが一度は
暖かい場所から旅立たなきゃいけないということ。



人間は自分のことは
何ひとつ分からない生き物です。

だからこそ
自分の欲望を知るために人は、

人と出会う旅に出なければ
いけないんですよね。



物語のラスト、
まさか吉本のベタなギャグで
泣く日が来るなんて
思いもせんかったなぁ〜(汗)(>_<)


うっとうしくなることも多いけど(笑)
俺もやっぱ大阪が好きやって
改めて思えた小説です。


瀬尾さん、ありがとう!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2013年1月28日
読了日 : 2013年1月28日
本棚登録日 : 2013年1月28日

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コメント 4件

nobo0803さんのコメント
2013/01/28

私も関西なので、この本は読んでてそうそう!と思うことがあり、親近感がわきました。
ほんとに、吉本のこのギャグでうるっとさせられるとは思ってもいませんでした(笑)

そうですね、煩わしいことや、いいかげんほっといて!!と思うこともあるけど私も大阪が好きです。

まろんさんのコメント
2013/01/28

うっとうしがっているようで、やっぱり気になって関わってしまう。。。
兄弟っていいなぁ!と、ひたすらうらやましくなる本でした。
どことなくお兄ちゃん・弟に似た雰囲気の友だちに
コウスケ・ヘイスケがそれぞれ助けられるあたりも微笑ましくて♪

そしてやっぱり、ベタでコテコテの大阪は、私の憧れの地です(*'-')フフ♪

円軌道の外さんのコメント
2013/02/05


nobo0803さん、
コメントありがとうございます!

あっ、nobo0803さんも
関西出身なんですね(笑)(^O^)


なんか自分たちの住んでる町や
食べ物や環境や生活やギャグが
物語の中で描かれてるって、
こそばゆい感じで(笑)

ちょっと照れながら
読んでたなぁ〜(^_^;)


しかも仲が悪い
正反対のキャラの兄弟という設定が
モロうちの家の兄弟の関係と似ていて、
スゴく物語に
入り込みやすかったですね(笑)


けどこの作品もそうやけど
関西以外の人から見たら
関西人ってどう思われてるんスかね?


この作品も
関西文化を知らないでずっと暮らしてきた人たちからしたら
どう映るんやろって
めっちゃ気になります(笑)


鬱陶しいとか
濃いなぁ〜とか
そんなん感じひんのかな〜(笑)


円軌道の外さんのコメント
2013/02/05


まろんさん、
コメントありがとうございます!


そうですよね、
コウスケヘイスケお互いの友達が
ホンマいいヤツで(>_<)

友情を描いた場面だけで、
白ご飯三杯は食えるし(笑)、

やっぱ瀬尾さん
サイコーって思いましたよ(笑)♪



まろんさんは確か
一人っ子でしたよね。

自分は仲が悪い
正反対な性格の弟がいるので、
ホンマ羨ましい気分で読んでました(笑)


あっ、大阪いいっスよ♪

馴れ馴れしいし
口悪いし
擬音語多いけど(笑)
人情味溢れる町です(^_^)v


来阪する時は一言声かけてもらえれば、
旗持って
食い倒れツアーお供しますよ(笑)


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